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大麻比古神社は「おおあさひこじんじゃ」とお呼びします。
徳島県の人達は「おおあささん」とか「おおあさはん」と親しみをこめてお呼びしています。
よく「たいまひこ」とか「おおまひこ」と読む人がいますが間違いです。
それほどこのお宮が県民の身近な存在として古くから崇拝されており、県内一の大社として有名な神社です。お正月には25万人の初詣客で賑わいます。
二柱の神様がおまつりされています。
※柱(はしら)とは神様や佛様を数えるときの言葉です。
大麻比古大神と猿田彦大神の二柱の神様です。
また、おまつりしてある神様のことを御祭神(ごさいじん)と言います。
まず大麻比古大神とは、大昔阿波国を開拓した阿波の忌部氏(いんべし)の大祖先の神様です。
神武天皇の御代に忌部氏の子孫が阿波国に入り国土を開拓して麻とか楮(かじ)の種を播いて麻布とか木綿をつくり郷土の産業の基を開いて人々の福利を進められました。
その氏族は今の吉野川市 元の麻植郡を拠点として開拓をされましたが国土開発の事業が漸く成った後に御先祖の神様 天日鷲命(あめのひわしのみこと)をおまつりしました。この神社が今徳島市に忌部神社としてまつられており、この神様の御神徳をたたえて麻植の神と申して敬ってきました。
忌部神社の御祭神天日鷲命様の大先祖の神様が天太玉命(あめのふとたまのみこと)で此の神様を大麻比古神社と申し上げ郷土の守り神としてこの地におまつりしたのが大麻比古神社と伝えられています。
猿田彦大神とは天孫降臨(てんそんこうりん)の時その道案内の役をつとめられた神様で、昔大麻比古神社の裏に聳えている大麻山(おおあさやま)の峯にお鎮まりになっていましたが、いつの時代かはっきり判りませんが大麻比古神社に合わせまつられたと伝えられています。
猿田彦の神様は私共に親しみの深い神様です。おまつりの時、神輿(みこし)の先頭に立って天狗のお姿をして神輿の先導をされている神様で、人々や土地のまわりに立ち塞がり、災難や禍をもたらすものを祓い退けてくださる神様です。
大麻比古神社にまつられている二柱の神様を総称して人々は「大麻はん」と申し上げており、方除(ほうよけ)、厄除(やくよけ)、交通安全の御加護をお授けくださる神様として今も多くの人々から信仰されています。
はっきりした年月はわかっていません。
ただ、平安時代初期に編纂された延喜式(えんぎしき)の神名帳に記載されている神社3132座の中で阿波国50座の内の大社として大麻比古神社の名が残っています。
延喜式とは、延喜5年(905年)醍醐天皇の勅命によって藤原時平等が編纂した制度集のことで、延長5年(927年)に完成したものです。平安初期の制度、儀式作法等の細則をまとめたもので、その中の神名帳(じんみょうちょう)に記載された神社3132座を式内社といっています。この中に阿波国では大社として大麻比古神社、忌部神社、天石門別八倉比賣神社の名が残っています。
このようなことから考えると、今から1100年位前の時代にはすでに阿波国の代表的な神社であり、それほど古い時代からおまつりされて今に至っている古いお社です。ご神木の楠は樹齢約1000年、鳴門市の文化財に指定されています。
社格というのは、昭和20年に廃止されましたが、明治6年から昭和20年までは国幣中社という格式の高い神社でありました。
大麻比古神社は阿波国の一の宮で全国約100社の中の1社です。
一の宮とは、平安時代から鎌倉時代初期にかけて整った一種の社格というべきもので、国の中で最も由緒の貴い中心的な神社、又古代の制度において國司が国内の神社を順拝するときその序列の中で最上位につけられた名称であるといわれています。
なお、阿波国と淡路国の総産土神(うぶすながみ)として今も崇敬されています。
大麻比古神社の参道(約800メートル)の入り口に建つ大鳥居は平成14年に鋼管製で再建されました。高さは14.6メートル、柱間11メートルです。元の大鳥居は同じ大きさで昭和33年に鉄筋コンクリートと鉄骨で建設されましたが老朽化のため再建されたものです。
参道両側には樹齢2〜3百年の黒松が群生していましたが、昭和50年代に松食い虫の被害に遭いすべて枯死したので、今は楠を中心とした緑の並木となりました。
両側の石燈篭は平成16年から17年にかけて氏子崇敬者の寄進によって建てられました。
大麻山(おおあさやま)は標高538メートル。阿讃山脈の霊峯で頂上には大麻比古神社の奥宮峯神社がまつられています。
地元の人々はこのお山を「弥山(みせん)さん」と言って崇拝し、石段がつづく急な坂道と中腹から上はうっそうと茂る自然林に覆われ、人々の修行の場として、又登山家にはトレーニングの場として毎日多くの人々が参拝に訪れています。若い人なら1時間、初めての人なら約2時間で頂上です。